レジミスをして落ち込んでいませんか?「いつもミスばかりしてしまう」という理由で落ち込む人もいますし、「自分はミスしないと思っていた」という理由で落ち込む人もいます。私は過去6年で8店舗の異動を繰り返し、6年で70名以上のスタッフとお仕事をしてきましたが、全くレジミスをしないスタッフもいれば、1日に2回同じミスをしてしまったスタッフもいました。
仕事上のミスや失敗からの回復は、仕事と向き合うビジネスパーソンだけでなく、アルバイトで働く人にとっても重要なプロセスです。私も過去にレジミスをして落ち込んだことがありますし、最近もレジミスをしたスタッフにどうやって声を掛けるか悩んでいました。
この記事では、レジミスから立ち直るための効果的な手法を解説します。具体的には、ミスに向き合って解決する方法を4つ、フィジカル(身体面)に働きかけて立ち直る方法を2つ、趣味などに没頭する方法を12個紹介します。
この記事を読むと、レジミスから早期に立ち直り、前向きに仕事に行ける可能性があります。
レジミスで落ち込むパターン4つ
レジミスで落ち込んでしまう理由はいくつかあります。過去に自分で落ち込む時の分析や、同僚の落ち込むパターンを分析し、レジでミスをした時に落ち込む理由をそれぞれで4つパターンを記載しました。自分がなぜ落ち込んでいるか明確にすることで、少しでも前に進んでもらえると幸いです。
成果と努力の差
「成果と努力の差」とは、自分が努力すれば必ず成果が出るはずだという期待と、実際に得られる成果の間にギャップがある状態です。
「あれだけ時間を掛けてレジ特訓をしたのに・・・」、「新人が入ってきて教える立場なのにレジミスをしてしまった・・・」というような状況で落ち込みます。
この「努力と成果のギャップ」を経験すると、自己評価が下がりがちです。しかし、すべての努力がすぐに結果に結びつくわけではないことを理解することが大切です。また、期待した結果が得られなかった原因を冷静に分析し、次に生かすことが重要です。努力の方向を少し変えてみる、新しい学習方法を試してみるなど、柔軟な対応で未来が見えてきます。
理想の自分と現実の自分の差
レジミスで落ち込む理由に「理想の自分と現実の自分の差」があります。
これは、自分が持つ理想像と、現実の自分との間に大きな隔たりがあると感じる状況です。
「レジミスをするひとの気持ちが分からない」「自分はレジミスをしたことない完璧な人間だ」と自分の理想像を持っている人が、陥りがちな落ち込みパターンです。
この「理想の自分」と「現実の自分」とのギャップを感じたとき、自己嫌悪や自信喪失を経験する人も少なくありません。しかし、重要なのは、自分が持つ理想が現実的であるかを見極め、自分自身に対して現実的な目標を設定することです。全てを完璧にこなすことは誰にも難しいため、小さな成功を積み重ねていくことが、自信を取り戻し、次第に理想に近づくための鍵となります。
自己評価と他者評価の差
「自己評価と他者評価の差」とは、私たちが自分で思っている自分の価値と、他の人が思っている自分の価値にズレがある状態です。
このパターンはレジミスを上司から指摘されたときに起こりえます。「自分はレジミスしない」と思っていたのに、上司から「みんなミスするから気にしなくていいよ」と言われたりすると自分への自信がなくなり、「自分ってダメなのかな?」と落ち込んでしまうことがあります。
自己評価(自分が自分に持っている期待)と他者評価(他の人が自分に持っている期待)がずれると、自分に対する疑念が生まれ、自分を認める気持ちが低くなり、自尊心が傷つくことがあります。
しかし、このギャップを理解し、自己評価を適切に見直すことで、気持ちを持ち直し、他者からのフィードバックを前向きに活かすことができるようになります。他者からの評価を受け入れつつ、自分の得意な部分に目を向けたり、自己成長の機会と捉えることで、自分に対する疑念を払拭し、再び自信を取り戻すことができます。
将来の展望と現在の状況の差
「将来の展望と現在の状況の差」というのは、私たちが将来に期待する理想的な姿と、今の自分の状況があまりにもかけ離れていると感じることで生じるギャップです。
例えば「自分は将来的にこのお店を任させる人材だ。それなのにレジミスをしてしまった。」という理由で落ち込んでしまう人がいます。このような状況になると、将来への期待が大きく外れてしまうため、不安や焦りを感じたり、失望してしまったりすることがあります。自分自身に対する信頼も薄れてしまい、落ち込むことが多くなります。
しかし、このギャップを埋めるためには、まず現実の自分を冷静に受け入れることが重要です。そして、短期間での大きな変化を期待するのではなく、小さな目標を積み重ねていくことで、自分の成長を実感しながら将来の展望に近づいていくことが大切です。
レジミスと向きあって解決する4つの方法
お店に居ると誰もがレジミスを経験します。大切なのは、そのミスから学び、次に活かすことです。失敗から目を背けたり、自分を責めたりするのではなく、しっかりと向き合うことで、真の成長を遂げることができます。
誰かに相談する
レジミスで落ち込んだ時に誰かに相談することは、非常に効果的です。誰かに相談することで、自分の感じているストレスや問題を言葉にすることで、いま何が辛いのかを明確にすることができます。
例えば、レジミスを同僚や上司に相談してみると「私は2日連続でレジミスしたことがある」とか「僕は10,000円の差異を発生させた」という体験談に発展することがあります。レジミスは一定の確率で起こってしまうものであり、自分や自分の周りで経験している人がいます。皆さんの先輩や上司にも新人の頃があったので、恐らくレジミスで悩んだこともあるはずです。その先人を教えを自分のミスと重ね合わせることで、立ち直るきっかけをつかむことができます。
したがって、誰かに相談することは、気持ちの共有と新たな気づきが得られるので、仕事のストレスや挑戦を乗り越えるのに役立つ重要な手段です。
失敗の原因を分析する
レジミスでの失敗後、その原因を分析することは、個人の成長と精神的な立ち直りに貢献できます。
レジミスの原因を分析することによって、単に問題を認めるだけでなく、それがどのように起こったのかを理解し、同様のミスを将来避けるための具体的な改善策を導き出すことができます。
例えば、レジミスをした時に「自分は仕事ができない」「自分は頭が悪い」のように自分に原因を求めてしまう人がいますが、自分の能力を卑下して落ち込むよりも、そのレジミスを冷静に分析する方が生産的です。私のチームに、もともとホテルのコンシェルジュをやっていた人が居ました。彼女は、接客は素晴らしいのですがレジでのミスが何度か発生していました。その要因を分析したところ「私はもともとサービスをしてお客様に喜んでいただけるのが好きなので、レジの間も少しでも楽しんでもらいたい。その結果、ついついレジでお喋りをしてしまう」という原因を突き止めることが出来ました。この原因が分かってからは、接客は接客で満足度を高めることに最大の力を使い、レジでは淡々とお金のやり取りに集中するように業務の工程を改善しレジミスが減りました。
このようにレジミスの原因を分析することは、自己反省と問題解決の手段として非常に価値があり、これを通じて気持ちの回復に役立ち、将来的により効果的に対処することができるようになります。
将来に向けて、今後の対策を考える
レジミスで失敗して落ち込んだ時、将来に向けて対策を練ることは、心理的な回復を助け、再発防止に繋がります。
失敗を分析し、その教訓を生かして具体的な改善策を計画することで、自己効力感を高め、ポジティブな前進を促します。このプロセスは、挫折を乗り越え、より良い成果を目指すための動機づけにもなります。
例えば、レジミスの良くあるミスでクレジットカードの金額の打ち間違いがあります。レシートとクレジットカード端末から出た金額の読み合わせを怠るという原因が良くあります。この基本的なプロセスを踏むことなくミスが起こってしまったのであれば、そのプロセスを飛ばしてしまった原因を突き止めます。そして、「金額の読み合わせ」が今後必ず出来るようになれば、理論的にミスは発生しないことになります。(なお、金額の読み合わせについてこちらの記事をご覧ください。)
したがって、レジミスのような失敗を将来の成功のための学びとして活かし、具体的な対策を練ることは、自信を取り戻し、立ち直るうえで極めて重要です。
仕方ないと割り切る
レジミスで落ち込んだ時に「仕方ないと割り切る」ことは、感情的な負担を軽減し、より建設的な未来へのステップを踏み出すのに役立ちます。
「仕方ない」と割り切ることで、過去の出来事に囚われず、現実を受け入れることができます。この受容は、感情的な回復を促進し、不必要な自己責任や後悔の感情から解放されることを意味します。割り切りを通じて、心理的なエネルギーを未来の行動や改善に向けることが可能になります。
レジミスは気を付けていても確率的に起こってしまうヒューマンエラーとも言えます。全てのことを完璧に出来る人が居ないことは経験的に分かっていても、自分のミスは認められない人はあまりにも多いです。しかし、「今回の失敗は避けられなかった」と割り切りを決めた後、落ち着いて何が間違っていたのかを考え、将来同じミスを避けるための具体的な改善策を立てることができます。
私の敬愛する松下幸之助さんも「失敗したところでやめてしまうから失敗になる。成功するまで続ければそれは成功になる」という名言を残しています。レジミスも大成するための通過点であると割り切ることはとても重要です。
したがって、「仕方ないと割り切る」ことは、仕事での失敗を受け入れ、感情的なストレスから早期に回復するための有効な方法です。これにより、より大きな目標に集中し、前進するための心理的な余裕が生まれます。
以上のようにレジミスに向き合い方法はいくつかあります。ミスの原因や再発防止策を知りたい方は、別のブログ記事をご参照ください。
- クレジットカード会計の業務マニュアル:クレジットカードのレジマニュアルの具体的な注意点
- 現金会計の業務マニュアル:現金のレジマニュアルは3つの業務手順を抑えよう
フィジカル(身体面)に働きかける2つの方法
落ち込んだ時、運動や睡眠のように身体に働きかけることは、心身の回復に大きく役立ちます。
運動する
レジミスでの落ち込みを乗り越えるために、運動することは非常に効果的です。
運動はストレスを軽減する生理的なメカニズムを活性化させます。特に、エンドルフィンと呼ばれる自然な鎮痛剤のようなホルモンが分泌されることで、気分が向上し、ポジティブな感情が高まります。さらに、運動による肉体的疲労は質の高い睡眠を促進し、心身の回復を助けます。
私もこの方法は意識的に使っています。仕事上のストレスを感じる可能性がある時は、フィットネスジムの予定を意識的に入れて気持ちを向上させるようにします。また、肉体的に追い込まれていると、気持ちで悩んでいる余裕がなくなり、レジミスでの落ち込みを一時的にでも忘れることが出来ます。
したがって、レジミスでの失敗を経験した際に運動をすることは、感情的なリカバリーを促進し、ストレスを管理する効果的な方法です。
睡眠をとる
仕事での失敗後、ゆっくり寝て体力を回復させることは、感情的な復調とパフォーマンスの向上に役立ちます。
十分な睡眠は、脳機能を最適化し、記憶の整理と情報の固定を促進します。また、睡眠はストレスホルモンを減少させ、心理的な回復を支援するため、精神的な負担を軽減しやすくなります。
私の同僚で、先日レジミスを経験したスタッフで「13時間寝た」というスタッフがいました。彼女の場合はもともと能力も高いのですが、2児の母でもあり自分の時間が取れなくなると業務にムラが出ることがあり、その結果としてレジミスが発生してしまいました。彼女とはいろんな話をした後に「まずは睡眠時間を確保してから考えましょう」という選択肢を用意したところ、翌日すっきりした顔で出勤してくれて、前向きな話がたくさんできました。
したがって、レジミスに対処するためには、適切な休息を取り、体力と精神力を回復させることが、健康な心理状態を保ち、次のステップへと進むための重要なステップです。前述の「運動する」を行うと、肉体的な疲れで睡眠の質が上がるので組み合わせて使うことは有効です。
趣味などで気分転換する12の方法
レジミスによる落ち込みを乗り越えるために、趣味を通じて気分転換を図ることは、心理的な回復に非常に効果的です。
趣味は心をリフレッシュし、異なる活動に没頭することで一時的に仕事のストレスから解放されます。趣味によって新しい成功体験を積むことができるため、自己効力感が高まり、ポジティブな感情が増すことが科学的にも証明されています。また、創造的な活動は脳の異なる領域を刺激し、新たなアイデアや解決策の発想を助けることがあります。
映画・アニメを観る
映画やアニメに集中していると、他のことを考える余裕がなくなります。映画の世界に入り込むことで、頭の中をスッキリさせ、気分転換することができます。また映画の内容に感動することで、心が温かくなり、幸せな気持ちになります。感動体験は、ストレス解消や気分転換にも効果があります。
涙を流す
涙を流す行為自体が、感情の解放に繋がります。特に悲しみや苦痛、ストレスを感じている時に涙を流すことで、これらの感情が外に出され、心理的な負担が軽減されるとされています。感情を内に留めておくよりも、外に出すことで心が軽くなる感覚を得られるのです。
カラオケで歌う
カラオケを歌うことは、ストレス解消に効果的です。歌っている間は、脳内物質であるエンドルフィンが分泌されます。エンドルフィンは、幸福感や高揚感をもたらす効果があり、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを下げるのに役立ちます。
散歩やハイキング
自然の中で過ごす時間は心を落ち着かせ、創造性を刺激します。自然の中で過ごすことは、心身に良い影響を与えます。緑を見ることや、鳥のさえずりを聞くことは、リラックス効果やストレス軽減効果があります。また、太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、気分がリフレッシュされます。自然の中で過ごす時間は心を落ち着かせ、創造性を刺激します。
料理
料理を作る過程では、食材の色、香り、味、食感などを楽しむことができます。五感を刺激することで、脳が活性化され、気分がリフレッシュされます。また、料理を作って、美味しく完成させることができれば、達成感を得ることができます。その結果自信につながり、気持ちが前向きになります。
美味しいものを食べる
落ち込んだ時に、自分にとってのご褒美として美味しいものを食べることで、気持ちが前向きになります。美味しいものを食べると、脳内ではドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質が分泌されます。これらの神経伝達物質は、幸福感や高揚感をもたらし、気分を改善する効果があります。
アートや工芸
絵を描く、陶芸、編み物などの手工芸は集中力を高め、ストレスを軽減します。アートや工芸作品を作る過程では、色彩、形、質感などを楽しむことができます。五感を刺激することで、脳が活性化され、気分がリフレッシュされます。
ヨガや瞑想
ヨガや瞑想は、自分の心と体に向き合う時間を与えてくれます。自分の心と体の状態を客観的に認識することで、ストレスの原因を理解し、対処することができるようになります。
読書
読書を通して、自分の想像力を働かせることができます。想像力を働かせることで、ストレス解消や気分転換にもなります。読書を通して、心が穏やかになり、気持ちが落ち着きます。
音楽を聴くまたは演奏する
音楽は、言葉では表現できない感情を表現することができます。歌詞やメロディーを通して、自分の気持ちを表現することで、気持ちが楽になります。また、音楽には、思い出を呼び起こす力があります。過去楽しかった思い出を思い出すことで、気持ちが前向きになります。
ペットと過ごす
ペットは、無条件の愛を私たちに与えてくれます。ペットから愛情を感じられることで、心が温かくなり、幸せな気持ちになります。ペットとの交流は心を和ませ、愛情を感じることができます。
推し活に没頭する
私のお店のスタッフに教えてもらいました。アイドルにパワーをもらうと翌日から仕事を頑張れるとのことです。
納得感もあったので追記させていただきました。
まとめ
この記事では、失敗から立ち直るための効果的な手法を解説してきました。
具体的には、ミスと向き合って解決する方法を4つ、フィジカル(身体面)に働きかけて立ち直る方法を2つ、趣味などに没頭する方法を12個を紹介しました。
なお、レジミスが起こってしまった時は、早期に報告をしましょう。