防犯カメラの選定で悩んでいませんか?
私は、アパレルブランドの店舗マネージャーを務めていますが、過去14回の盗難・万引き被害に遭ったため、これまで店舗で4回、防犯カメラを買い替えて運用してきました。防犯カメラをどれにするか一日中悩んでいたこともあります。
実は、防犯カメラの選定において、その目的に立ち返ればおのずと必要なスペックが見えてきます。
なぜなら、店舗運営において、防犯カメラの選定で良く比較される画素数や動体検知機能のようなものは、必要ではなかったりするからです。
この記事では、店舗運営に特化して、防犯カメラの選定に必要な項目をまとめています。
私は、防犯カメラの導入を行うならば、まずは低コストの家庭用カメラを購入して試してみる。そのうえで、家庭用カメラでの効果が実感でき、配線工事ができるのであれば業務用カメラをお勧めしてしています。
この記事を読むと、店舗で必要な防犯カメラについて意思決定ができます。
一般的に言われるカメラのスペック
防犯カメラを選ぶスペックは多岐にわたります。
例えば以下のようなスペックです。
- 画質=どれくらい鮮明に撮影できるか?
- 明るさ=暗視モード、赤外線モードがあるか
- 録画時間=動体検知機能を付けて必要な時間だけ録画する
- 保管方法=HDやSDカードような記録媒体、クラウド等がある
- カメラの角度=広角で撮影することができる
- 形状=ドーム型、据え置き型等の形で選ぶ
- 予算=どれくらい投資できるかで決まる
以上のような項目があると、我々はこの中から比較検討して1つを選ぶことになるのですが、その基準を何に置くかが非常に問題になります。
この記事でお伝えしたいのは、こういった機能の比較で選ぶのではなく、どの防犯カメラにするかを利用シーンから決定する方法となります。
利用シーンから考える必要なスペック
過去の経験をもとに、必要なスペックを利用シーンから考えてみます。
以下の記事の内容を画像でまとめるとこうなります。
抑止力・動作の安定性(被害発生前)
まず、防犯カメラを設置する理由ですが、私のような小売りの現場マネージャーが必要なのは、「盗難・万引きを発生させないこと」です。
もちろん、盗難・万引きの抑止力を防犯カメラに委ねるのは誤っています。
一番の盗難・万引きの対策は、お客様を適切にお迎えするお声がけであるからです(この辺りはまた別の記事で紹介します)
盗難・万引き対策の一つとして防犯カメラの設置があるのですが、ここで重要なのは、店内の景観を損ねるものであってはいけないということです。
しかし、設置されていることがある程度明確でないと盗難・万引きの抑止力にならないという側面があります。
以上を考慮するとカメラの大きさや形が決まってきます。
私のお店の場合、ブランドイメージがあるので大きすぎてはダメでしたし、いかにもカメラの形状をしているのは景観を損ねると考え丸みを帯びたものを中心に探しました。
設置場所は天井か什器の上と決めることが出来たのであまり深く悩みませんでした。
見た目以上に大切なのが、安定性です。安定性とはカメラが動作しているか?をどのように担保するか?ということです。
非常に残念なのですが、過去に最初に購入した防犯カメラは、SDカードを使用したカメラで「上書き保存機能」が上手く動作しておらず、盗難・万引きが発生した段階で初めて録画保存が出来ていないことに気づいたことがありました。
これでは防犯カメラの意味がありません。私は、防犯カメラの画素数よりもこの「安定性」を重視した防犯カメラ選びをしてきました。
画像確認方法のスペック(被害発生時)
次に重要なのが被害発生時に画像を確認する方法から選ぶスペックです。
ご経験がある方ならお分かりだと思いますが、盗難・万引きが発生時にすぐに判断できるものではありません。
たいていの場合、スタッフがディスプレイされているはずの商品が少なくなっていることに気づく とか、閉店後に点数をチェックした際に差異が発生していることに気づくことで疑義を持ち、防犯カメラを調べることから始まります。
防犯カメラのチェックを行い、改めていつどこで商品がディスプレイからなくなっているのかを追跡します。
この追跡業務がどれだけ短縮できるか?がとても重要です。
最初に導入した防犯カメラは、専用のアプリをスマートフォンやタブレットにダウンロードして再生をおこなうものでしたが、検索性を高めるために、検索・再生するために有料版のアプリを購入する必要がありました。
このアプリの使い勝手が悪く、盗難・万引きの疑義案件が発生した場合に多大な時間を要し、その検索性の悪さが非常にストレスを感じたことを覚えています。
具体的には、盗難・万引きが発生して可能性がありただでさえ、イライラしているのに、検索が上手くいかずさらにイライラするという悪循環が発生。
また閉店後の防犯カメラのチェックとなると1日の疲れがある中、使い勝手の悪いアプリの操作はそれだけでストレスが溜まりました。
以上より、被害発生時の画像の検索方法の方法は非常に重要であると考えます。
被害届や顛末書提出時のスペック(被害発生後)
最後に、警察に被害届を提出するステップです。画質を一番気にするタイミングは、おそらくこの業務です。
なお、万引き・盗難発生時の被害届の出し方については別の記事にまとめていますのでご参照ください。
特に画質はどう考えればいいか?という問題があります。私の経験上、画質にこだわって画素数の高い防犯カメラを購入する必要はないと考えています。
確かに画質が高ければ、盗難・万引きが発生した際に被疑者の顔を鮮明にとらえることができます。
一方で、どれだけ鮮明に撮影が出来たとしても、画像以外の方法で個人を特定できない限り、盗難・万引きは現行犯での逮捕が必要になります。
刑事訴訟法 <捜査>
第213条 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。
第214条 検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。
e-Gov法令検索 刑事訴訟法
画質が高く被疑者の特徴が鮮明に記録できていれば、別件で被疑者が捕まった時に余罪の追及ができるようですが、先ほども申し上げた「現行犯での逮捕が必要」という視点から見れば、カメラの画像が鮮明であることは必ずしも必要にはなりません。
以上から、私自身は画質に関しては、そこまで気にせず防犯カメラ選びをしてきました。
もう一つ、ブランドによっては本社への顛末書を作成する店舗もあるでしょう。
大切な商品が盗難・万引きの被害に遭ってしまい、会社に損失を与えてしまうので顛末書のような形でレポートを提出する必要のブランドさんもあるのではないでしょうか。
この際に、なぜ発生したのか?今後、どのように再発防止策を講じるのか?は大切な論点になります。
防犯カメラの記録映像を見直し、事案発生時のスタッフの動きや、死角がなぜ生まれてしまったか?を検証する意味で、防犯カメラの画像は役に立ちます。
重ねて申し上げますが、この時も高い画素数が必要あるか?といえばそうではありません。
事案発生時のスタッフの立ち位置等が分かればいいわけで、何も鮮明な画像である必要はないと思っています。
画質よりも重要なのは、データの移行方法です。
データをPCに移行し、警察へ届け出を行う際の参考として使用したり、自身で分析しSDカードの場合は、カードのアジャスターを使用して直接データを抜き出すか、USBケーブルを利用してデータの移行を行います。
データの移行方法が問題なく行えるかどうかも私は重視してきました。
過去に使った機種のレビュー
ここからは、2018年頃から、防犯カメラの選定に悩みながら実際に購入して使用してみた防犯カメラのレビューを行います。
商品の細かいスペックは、ECサイトで拝見できますので、この記事の独自の項目でまとめています。
家庭用カメラ(P社)
私が最初に購入した防犯カメラ。180度の広角カメラ1台でお店の死角を撮影してくれていました。
一方で、非常に残念だったのが安定性。SDカードに保存する「上書き保存モード」を使用していましたが、動作していないことがあり被害発生時に発覚したことがありました。
また検索性を高めるために有料版アプリの購入が必要で、アプリを購入するか?それとも新しい防犯カメラを試してみるか?の2択を迫られて2021年に新しい防犯カメラの購入に至った経緯があります。
カメラの不具合で修理のサポートセンターを利用したことがありましたが、非常に丁寧に応対してくれました。
家庭用カメラ(Wansview社)
P社の有料版アプリを買うくらいなら・・・というややネガティブな理由で2021年に購入した防犯カメラ。
録画した動画の検索性が高く、当時の日誌の記録を見ると「雲泥の差」と評価していました。
ただし、P社の180度の広角カメラに比べると視野は105度と物足らなかったので、2台購入にして運用していました。
期間中にコロナウィルスの蔓延で緊急事態宣言が発令。その際に商業施設事態が閉館になり、給電がストップ。
営業再開時にカメラが動作してないことが発覚し、焦った記憶があります。
安定性を確保するために、毎朝、アプリを立ち上げる業務を行っていましたが、アプリにログインするために毎回ログインコードを入れる必要があるのと、アプリ操作の過程で、クラウド保存の契約を促すUIがややもったいなかったです。
なお、このカメラの映像がもとになって、初めて犯人逮捕に至った実績があります。
業務用カメラ(アルタクラッセ社)
試行錯誤の上、ようやくたどり着いた防犯カメラの決定版。
運用にかかる費用は、P社・Wansview社と比べても文字通り桁違いとなっています。
一方で、この金額を支払う意味は非常に大きいと感じています。
業務用防犯カメラを使ってみての感想
抑止力・動作の安定性(被害発生前)
抑止力に関しては他のカメラと同じです。
ただ、ここでお伝えしたいのは、「動作の安定性」です。
私の購入したセットはモニター付きのモデルでした。
以前のモデルは、アプリを使うもので、お店で使っているiPadにアプリをダウンロードして、毎朝「念のため動作しているか確認する」という作業をしていました。
忙しい開店前の時間で、それが漏れてしまうこともしばしば。
そもそもお客様をお迎えする準備に全精力を使う朝の時間帯に、「盗難・万引きの被害にあったりしたらどうしよう?」と考えるのは構造的にも難しいと感じています。
このセットに関しては、コンセントが接続され電源がONになっていることさえ確認できれば、常時録画している証拠となります。
当たり前のことかもしれませんが、常に動作しており常に録画されているというのは、とても大きいです。
私は数年前に機械式時計からウェアラブルウォッチに乗り換えたのですが、この時の買い替えを検討した際に「使用していることを意識しなくなってくると、使いこなしている実感が出てくる」という記事を拝見し、今はその意味がよくわかります。
睡眠時間の表示・消費カロリーの推移・定期券としての利用 と生活の一部になってからが、ウェアラブルウォッチに変えて良かったと実感することが多くなりました。
この感覚に似ています。
普段は設置されていることを忘れてしまうが時々稼働していることを確認できるようになって、この安定性に満足できます。
画像確認方法のスペック(被害発生時)
一日の録画の流れが分かるのもこの機種の良いところです。
マウスを使って、バーを動かしながら記録を見ていくのですが、この操作性が高いのは大変ありがたいです。
以前、1日分のデータを遡ってみる機会があったのですが、まず1時間ごとに特定商品が置かれているかを確認します(この時点で12回クリックする)。
大きく商品が移動している時間帯をピックアップし、60分をさらに10分割して6回クリックする。
さらに商品の移動している時間を見つけて絞り込んで、盗難・万引きの発生を確認するという画像の確認を行うことが出来ました。
被害届や顛末書提出時のスペック(被害発生後)
バックアップ機能を使って、動画のデータをaviファイルで出力します。
この際にUSBメモリを利用してデータを移行する必要があります。
前述したP社、Wansview社のものに比べてやや面倒なのがこのステップです。
USBメモリの使用を個人情報の持ち出しの関連で禁止されているブランドもあるかもしれませんので、その場合は、モニターに映った動画をスマートフォンで撮影する等の措置をとりましょう。
業務用カメラの難点は設置工事にあり
これまで、業務用カメラの利点を並べてきましたが、一つだけ弱点があります。
それは業務用カメラの動作には給電が必要で、その設置工事が高所作業になったり配線の確認がある関係で素人には難易度が高い点にあります。
私のブランドの場合、業務用カメラの導入は店舗の改装のタイミングで行いましたが、「防犯カメラだけの設置」での稟議が通らず、他の什器の入れ替えの際に業者さんに設置してもらいました。
なお、業務用カメラの配線工事に関しては、見積もり業者さんがありますので、お見積りを取ってみることをお勧めします。
まとめ
今回は、防犯カメラについてレビューさせていただきました。
出来るだけコストをかけずに購入するのであれば、Wansview社のような家庭用カメラをおすすめします。
しかしながら、安定性や動画の確認方法では、圧倒的に業務用カメラに軍配が上がります。
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ぜひ、防犯カメラでの悩みはいち早く解決し、店舗の重要な業務に集中できることを祈ってやみません。