【ワークしない?】マニュアルがあってレジミスが起こる場合、店内レイアウトを疑ってみる - アップ店舗

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【ワークしない?】マニュアルがあってレジミスが起こる場合、店内レイアウトを疑ってみる

いつも店舗の運営、お疲れ様です。

業務マニュアルを作成し、業務マニュアルの通りに運営しているにもかかわらず、レジでのミスが起こってしまったことはありませんか?

実は、業務マニュアルが運用されているにもかかわらずレジでミスが起こってしまう理由に、POS端末の設置場所やドロワーの中の整理整頓が出来ていないという構造的な問題があったりします。

私も、この構造的な問題に気付いてからは、率先して店内のレイアウト変更や、ドロワーの中の整理整頓を行ってきました。また、レジ台がミスを誘発していることを提言し、ブランドで統一したレジ台を入れ替えした経験もありますので、ハード面の改善がレジミスのリスクを減らす実感値を持っています。

この記事では、リスクに対応した具体的なレイアウト変更や整理整頓の方法をご案内しています。

この記事を読むと、「マニュアル通り運用しているのミスが減らない」という事態から抜け出せるヒントを得ることができます。

マニュアルが運用されなくて困っているマネージャー

投資判断こそマネージャーの仕事

レジミス撲滅の整理整頓やレイアウト変更は単に物を片付ける行為やモノの配置換え以上のものです。特に、収納スペースの最適化や整理用具の購入など、適切な収納のためには投資が必要になることがあります。そのため、レイアウト変更や整理整頓は、予算の執行権限を持つマネージャーによって主導されるべきと考えています。

なぜなら、マネージャーは、全体のレジ業務遂行と予算のバランスを考慮しながら、必要な資源を適切に配分する能力を持っています。マネージャーがレジミス撲滅のための整理整頓やレイアウト変更を主導することで、組織の目標に沿った効率的な意思決定が可能になります。これは、限られた資源を最も効果的に使用し、全体としてのレジミス撲滅という目標を達成するために不可欠です。

店内レイアウトを見直すことでレジミスが減る可能性がある

例えば、レジミスが起こった原因が、レジ横に設置された電話がお会計中に呼び出し音がなり、スタッフがレジに集中できなかったことが原因だったとします。この場合、電話機器を子機のあるものに買い替えるというような投資判断が必要になった時、予算執行権限がないと、そもそも電話を買い替える案に到達しないことがあります。

したがって、レジミスが起こりやすい状況を発見し再発防止を行うためには、予算の執行権限を持つマネージャーが主導権を握ることが不可欠です。マネージャーによる意識決定のもと、スタッフが整理整頓の実務やレイアウト変更を行い、チーム全員で役割分担を行うことが重要です。

具体的な店内の整備

レジに集中できる環境:レジを中断する要因が排除されているか?

マニュアルを作ったとしても、マニュアル通りに業務が運営できないと意味がありません。マニュアルを守らないのではなく、守れないことが時々発生します。

代表的な事例が、レジの最中に別のスタッフがレジ周りの備品を取りに来ることで、お会計が中断されてしまうことです。私の店舗だと、電話がレジ台の横にあり、電話が鳴る→3コールが終わる前に取ろうと別のスタッフが電話に駆け寄る→電話を取るために無理やりにでもレジ台に入る というお会計が中断する構造的な問題がありました。

電話でレジが中断してレジミスに繋がる

他にもお客様にご案内する会員カードのご案内用紙をレジまで取りに来たり、お客様の情報を検索できるタブレット端末を取りに来たとスタッフが狭いレジスペースの中で動き回るので、お会計を中断せざるを得ない事象が他にもありました。

こういったケースでレジがマニュアル通り運用できず、レジミスが発生していましたので、お会計を遮る可能性のあるものは極力、レジの外に配置するようにしました。電話の事例であれば、電話の場所を思い切ってバックヤードに置いてみたり、会員カードのご案内用紙は複数枚作成し店内に配置したり、タブレット端末は充電器を増設してレジスペースではない場所から取り出せるように配置変更をしました。

その結果、「お会計の途中で別のスタッフにレジを中断され集中力が欠如した」という構造的な問題がなくなりました。

端末の配置:隣同士に並びで同じ金額が同じ視野に入るようになっているか

クレジットカードのレジマニュアルにも少し記載しましたが、レジのPOS端末とクレジットカードの端末が横並びになっていることも非常に重要です。

以前、レジミスが多発する店舗があったのですが、よくよく調べてみるとレジ台が狭くタブレット端末とクレジットカードのPOS端末がバラバラになっているお店がありました。 タブレット端末とクレジットカードの端末の金額を同じ視野で見ることが出来ないため、金額の相違に気付くこと出来ないという構造的な問題が発生していたのです。

タブレット端末とクレジットカード端末が離れている

現在公開しているマニュアルにも「指差し確認」という項目がありますが、この指差し確認を行うことで事前にレジの間違いに気づいたことがありました。指差し確認を確実に遂行するためにも、タブレット端末とクレジットカードのPOS端末が隣り合う配置にしましょう。

タブレット端末とクレジットカード端末が隣り合っている

ドロワーの中の整理整頓:毎晩、ドロワーの中身はリセットされているか

レジのドロワーの中の硬貨を揃えておくことは、硬貨の取り違えるリスクを減らすことができるので非常に有用です。ここまで実践できているブランドは多いと思うのですが、もう少し踏み込んで欲しいと考えています。

ドロワーの中がぐちゃぐちゃだとレジに集中できない

まず、ドロワーの中は現金以外のものが入っていないことが前提になります。お客様からいただいたお名刺、商業施設から届いた請求書、1か月前にレジミスで余剰が出てしまった10円玉、今週取り組まなくてはいけないタスクのメモ・・・。

こういったものを紛失のリスクを恐れてレジのドロワーの中に入れるお店があります。これをやめることが大切です。現金以外のものが入っているとスタッフは、無意識のうちに現金以外のものに注意が行き、レジに集中できなくなる可能性があります。

これは、認知的負荷理論と理論で説明できます。この理論によると人間の認知リソースは限られており、タスクに要求される認知的負荷が高すぎるとパフォーマンスが低下することが示されています。レジのドロワーの中にレジ以外のものが入っていることが良くないと考えます。

一つだけ例外があって、当日やり取りのあった金券やお客様に「不要なので破棄をお願いします」と言われたレシートは保管する必要があります。そのため、必要なものは当日だけドロワーの見えない部分に入れることはOKというルールを作り宵越しで入れておくことをしないようにしています。

ドロワーの中が整理整頓されている

私のお店では、必ず閉店後にドロワーの中をリセットするようにしています。時々、当日は処理できなかったタスクのメモがレジに残るようなことがありますが、そのメモは当日中に別のメモに残して記録します。

また、細かいですが、ドロワーの仕切りに付箋を貼り付け、レジを開けるスタッフがどこにどの硬貨を置くかを判断できるようにしています。

ドロワーを硬貨をしっかり分けている

これらの対策(整理整頓)を行うことで、スタッフがレジに集中できる環境を整えていきましょう。

まとめ

以上3つの事例を見てきました。

せっかく作ったマニュアルが運用されないのは悲しいですが、正しく運用されているのにミスが起こることは、お店のレイアウトや整理整頓といったマニュアルとは別の構造的な要因があることを紹介させていただきました。

古い業務レジを使用している場合は、POSレジに買い替えるとミスが減る事例もありました。詳細は以下のブログに記載しています。

他にも構造的な要因を見つけた場合は、迷わず投資を行い、お金で買える再発防止策はどんどん導入していきましょう。

  • この記事を書いた人

たんぱくん

レジミスや万引き・盗難は小売り現場の社会的な損失と考えブログを執筆中。 2012年保険代理店を経営➡2015年大学院を卒業➡小売業界に転職➡2018年 店舗のマネージャーに就任➡2店舗の新店オープンに従事。 経営管理修士(MBA)修了。

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